熱意ある研究の素晴らしさ
1957年に生まれ、1987年にアイドル・ミニコミ情報紙『T.P .ランキング』を発刊した「アイドルウォッチャー」北川昌弘 らが、1988年から毎年発売しているシリーズの10冊目。本書は 、あらゆるメディアで活躍する「今、輝いている女性」を指す 広い概念である「アイドル」1200人強を、諸種のデータと「独断と偏見」に基づきランキングにして紹介し、またアイドルに 関わる周辺的な情報も幅広く提供している。若干の補足を加え ながら後者に基づき戦後のアイドル史をまとめると、「スター 誕生!」が放映され、小柳ルミ子・南沙織・天地真理が歌手デ ビューした1971年を、中高生を主なファン層とし、芸よりキャ ラクターを売り物にし、スターと違って身近にいそうなイメー ジをもつ存在としての「アイドル」の成立とする。しかし、レ コード時代の歌謡アイドルは1970年代後半、ニューミュージッ クの台頭と共に「偽物」視され不振に陥る。1980年の松田聖子 のデビューと82年組の登場と共に、歌謡アイドルは(「虚構」 として)復権され、1985年にはアイドル育成ゲーム的な「夕や けニャンニャン」が始まる(CD時代)。しかしこの「夕ニャン 」のアイドル大量生産によりアイドルの地位は下落し、1988年 以降(バブル末期)の「アイドル冬の時代」(セクシー系流行 )を迎える。その後子役安達祐美の活躍を経て、1994年の水着 アイドル雛形あきこと「癒し系」飯島直子の登場と共に、不況 下、ビデオやDVDを舞台にアイドルの復権が起こり、また小室 ミュージックの台頭と共にアイドルアーティストの時代がはじ まる。次いで1996年、アンチコギャル派の支持を受け、ピュア 系アイドル、とりわけ広末涼子が人気を博し、この流れがジュ ニア・アイドル(U−15)のブームへもつながっていく。アイ ドル概念に混乱が見られるものの、何であれ熱意を持って一つ の事柄について研究した成果は素晴らしい。
宝島社
|