起業前夜〈上〉 (講談社文庫)



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起業前夜〈上〉 (講談社文庫)
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理想のサラリーマン

 山一證券の破綻を下敷きに、証券マンの葛藤を描いた長編。主人公が魅力的。出世欲、穏健、臆病と確かに普通のサラリーマンではあるが、仕事ができて、強い正義感があり、部下からも慕われ、仕事絡みの人脈も良好と言うことなし。憧れのサラリーマン像がある。
 物語は、“飛ばし”と呼ばれる利益供与の噂を耳にした主人公が、会社の改革に孤軍奮闘するが……
 上巻よりも下巻に力がる。改革の私案をまとめ、会長に直訴する辺りからテンポが速く、最後まで一気に読まされた。単に会社、仕事だけではなく、家族や友人などの人と人との結び付きなどもしっかり描きこまれていて、登場人物が立体的に感じられる。小説としての完成度は高い。
 上下2巻の長編だが、少しも長く感じない、寧ろ短いぐらいだった。面白さにおいては、今までに読んだ著者の作品では一番。お勧めの1冊。
やっぱり良かった

私は高任さんのファンですが、やっぱりこの小説も良かった。
まず高任さんの小説(起業前夜もですが)、主人公が等身大であること、決して強い人物ではなく、心の弱い部分をさらけだしていること、テーマが暗いことでも読んでいて気持ちがふさぎこむようなことがないこと、などが彼の本の魅力だと思います。
この起業前夜は、主人公が会社という大きな組織に立ち向かうというような話ですが、その周りのでの出来事、家庭での問題、社内の人間関係、また若干の男女関係なども後味がよく書かれています。経済小説のジャンルでしょうが、他の小説と違い、読んだ後味がなんとなくさわやかに感じられる、そんな作家だと思います。



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